はじめに:この文章を書いている人
・偏差値50台の公立高校から現役で早稲田大学・慶應義塾大学・上智大学計8学部に合格。
⇛高3になって最初の模擬試験では上記の全ての大学でE判定。
・家計事情から塾に通うことができず、参考書を軸にした学習を継続し合格。
・現在は大手大学受験予備校で勤務。東大・京大・一橋大といった難関大・医学部医学科・早慶大など難関私立大志望者から、偏差値40未満から逆転合格を目指す生徒に至るまであらゆる状況の生徒をのべ1000人以上指導。自習で使ってもらう参考書の選定・参考書を進める計画などを指導し、成績向上に寄与する仕事を続けてきました。
この記事では『英文読解の原則125−原則を知れば、長文もコワくない!』の内容やレベル、使い方について解説します!
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・『英文読解の原則125』とは?簡単に紹介
・概要:駿台予備学校のトップ英語講師である竹岡広信先生が、生徒からの質問や答案の中でよくある勘違い・間違いを125の原則にまとめた英文読解攻略本。
・著者(出版社):竹岡広信(駿台文庫)
・想定志望レベル:旧帝大や、医学部医学科、東京外国語大など二次試験の英語の難易度が極めて高い難関国公立大学志望者向け(河合塾模試で偏差値62.5以上)
・例文数:125文(別途演習用の例文が掲載されている)
・音源の有無:付属CDあり
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・『英文読解の原則125』は難しい?難易度解説
『英文読解の原則125』は、旧帝大などの難関大の英語で必要な英文を読み進めていく上でのポイントやより多くの部分点を獲得するためのテクニックを知ることができる良書です!
英単語・英文法・英文解釈といった大学受験英語の基礎固めを確実に完了させた上で本格的に英文読解の演習に入りたい人が、その橋渡しとしてこの参考書を活用すればかなりの効果が期待できます。
実際、私が予備校で働いたときにもこの参考書を使って学習する生徒を指導してしましたが、特に京都大学や大阪大学などといった難易度の高い長文読解の問題を出題する大学を志望する生徒にこの本を勧めることが多かったです。そして実際にこの本を使って学習した生徒からの評判もとても良いものでした。
一方で気をつけないといけない点もあります。
この参考書の裏表紙には、対象レベルが「入門〜上級レベル」と記載されていますが、実際にはまだ大学受験レベルの英語の基礎学力が固まりきっていない人、具体的には河合塾模試で偏差値が60に満たない人にとってはかなり難しい内容です。
実際にこの参考書の口コミ・レビューを見ても、「入門〜上級レベル」という記載を見て購入したものの、実際に取り組んでみたらあまりにも難しく途中でリタイアしてしまったという感想が散見されます。
よって、まだ自分の英語基礎学力に自信のない人は基礎固めをしきった後にこの参考書にチャレンジしましょう。
※実際私も受験生時代、いきなりレベルの高い参考書に手を出して全然進められなかったという失敗を経験しました。それを踏まえてまずは易しいレベルの問題集をきっちり完遂し、その後レベルの高い参考書に戻ったときに、前と比べて格段に理解が出来るようになったという成功体験もあります。はじめは遠回りに感じましたが、レベルにあった参考書で学習をすることで最終的には河合塾模試で偏差値70以上をコンスタントに出すことが出来るようになりました!
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『英文読解の原則125』のポイント
ポイント1
・著者が実際の生徒の答案や質問を研究し、よく間違えるポイントをまとめた本である。
著者である竹岡広信先生は、東大合格者数NO.1で有名な駿台予備校のトップ英語講師です。駿台予備校でも東大・京大・医学科クラスの超難関大を志望する生徒中心に教鞭をとり、数十年にわたって生徒から絶大な支持を集め続けています。
(私の友人にもいわゆる「竹岡信者」がたくさんいました笑)
その竹岡先生が書いた本ですので、当然あらゆる大学に対応可能な英文読解上おさえておきたいエッセンスが凝縮された参考書となっています。難関大志望の生徒は安心してこの本を手にとってください!
一方で繰り返しになりますが、まだ英語基礎学力に不安がある方はひとまずもっと基礎的な参考書に取り組むようにしましょう。
というのも、上で述べたように著者の竹岡先生が主に教鞭を取るのは東大・京大などといった上位層相手であることがほとんどです。この本が実際の生徒の答案や質問を研究し作られた本というのは、つまり難関大を志望する生徒の質問・答案を踏まえて作られた本である可能性が高いということを意味します。そういった背景が本書の難易度の高さに繋がっているかもしれませんね。
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ポイント2
・英文解釈の「基礎」を学ぶ本ではなく、実戦的な「答案作成力」を強化する本である。
本書はよくある一般的な「英文解釈本」であると勘違いされることが多いですが、実際は1文1文の構成を細かく分析していくというよりは、そういった基本的な英文のルールを把握した上で、実際の長文読解に取り組む際気をつけるべきポイントについて深く学ぶという性質の本です。
もし、自分の英文解釈力に自信がない/そもそも英文解という勉強をしたことがない、という方は後述の「英文熟考」などの英文解釈本に先に取り組んだ上で「英文読解の原則125」に取り組むと良いでしょう。
ポイント3
・掲載例文数がかなり豊富
この『英文読解の原則125』には原則理解のための例文125文に加え、各例文につき1〜3問のチャレンジ問題が収録されています。よって、この一冊をクリアしたら相当数の上質な英文に触れたと自信を持って言える量です。
反対に、一通り学習しきるのにかなりの時間を要するので始める時期については要注意です。目安としては遅くとも高3の夏休み前には着手し始めたいところです。
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『英文読解の原則125』と『英文熟考』の比較
同じ竹岡広信先生の著書であることもあり、よく比較される両書ですがここではこの2冊の違いやそれぞれの参考書のメリットをお伝えします。
『英文読解の原則125』は実戦的な答案作成力を強化する本、『英文熟考』は英文解釈の基礎を学ぶ本
タイトルの通り『英文読解の原則125』は英語長文読解問題に取り組む上で必要な観点について網羅的に学ぶことができる本です。扱う文法項目もかなりマニアックなものまで含まれています。よって一通り重要な構文については学習を終えた後に、入試でより多くの点を取るための実戦力を養うことを目的に取り組みたい一冊と言えます。
一方、『英文熟考』は英文解釈力、つまり英文1文1文を文法的なルールにしたがって正しく訳出する能力を養うことが目的の本です。この英文解釈力を確実に鍛えることで再現性を持って英文に向き合う力が身につきます。
『英文熟考』は『英文読解の原則125』と比べて、英文の文法的解説や5文型の細かい解説に注力している参考書のため、まずは『英文熟考』で目の前の英文を正しく訳す基礎的な学力を身につける⇛『英文熟考』の内容が定着できたら『英文読解の原則125』に取り組み、『英文熟考』の内容の復習がてら実戦的な答案作成力を高める、といった順序で勉強すると高い効果が得られます!
また、『英文読解の原則125』とよく比較されることが多い『英文読解の透視図』との違いについても簡単に説明すると、『英文読解の透視図』はタイプとしては『英文熟考』に近い英文解釈本ですが、『英文熟考』と比べても難易度が高い参考書です。
一言で言えば「日本のどの大学の英文和訳問題にも対応できる英文解釈力」を身につけるための参考書、というイメージです。志望大学や自分の学力状況に応じて適切な参考書をチョイスしましょう。
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『英文読解の原則125』と『英文熟考』使用者の想定レベル
・『英文読解の原則125』:河合塾模試で偏差値62.5以上が目安
・『英文熟考』:河合塾模試で偏差値55.0以上が目安
河合塾模試で偏差値50に満たない場合は、上記の参考書よりも難易度が優しい英文解釈本から取り組み始めると良いです。
例えば、上記2冊と同じ竹岡広信先生が出している『入門英文問題精講』(旺文社)などがおすすめです!
『英文読解の原則125』の使い方
★前提:使い方の前に
『英文読解の原則125』には原則理解のための例文1文+チャレンジ問題1〜3問が125セット用意されています。
かなりボリュームがあるので、入試までの時間に合わせて以下2つどちらかの進め方を参考にしてください。
1.各テーマの最初の例文だけを先に一通り学習する。
時間が限られている人(具体的には受験学年の夏休み後からこの本に取り組む人)は、各テーマ最初の例文をまずは先に学習しましょう。理由はこの参考書の特徴として、各テーマ【原則理解の例文1文+チャレンジ問題1〜3問】で構成されているためです。最初の例文さえしっかり理解すれば125の原則をスピーディーに習得できるので少ない時間の中でもこの参考書のポイントを学ぶことができます。
まずは各テーマ最初の例文だけをマスターし、その後チャレンジ問題に手を伸ばすという考え方も有効です!
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2.掲載されている全ての文章に取り組む。
時間に余裕がある人(高3の1学期中にこの参考書に着手できた人)は全ての文章にチャレンジすることを考えましょう。当然ですが、応用力を試す訓練を繰り返すことで入試でその知識を使うことが出来る可能性も上がるからです。
特に和訳問題が多く出題される大学を受験する人はこの参考書の全ての文章に取り組み、実戦力を強化することを目標にしましょう。
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①解説・解答に頼らず、まずは自力で日本語訳を作成する。
まずは1文につき10分程度かかっても構わないので、ノーヒントで目の前の文章を訳出してみましょう。理由は2つあります。
1.思考力を鍛えるため
入試本番でもわからないなりに自分で推測して答案を書き上げるという力が必ず要求されます。
2.自分が理解できていない点を明確化し、効果的な復習につなげるため
自分がノーヒントで思考し、解決できなかったことには印をつけましょう。そうしておくことで解説の中でどこを確認するべきか明確になり、自分が身につけるべき知識・考え方に集中することが出来ます。
②解説を熟読し、もう一度訳出してみる。
自力で訳出をした後は、解説を確認し自分が解決できなかったポイントはどのように考えれば解決に導けるのか、そのポイントをチェックしましょう。
解決のためのポイントが理解できたら、例文に戻りもう一度日本語訳を作成しましょう。そうすることで理解できたと思ったことが本当に再現できるのか確かめることができます。
③英文への理解が深まったら、その文章を10〜15回音読をする。
ここまでの作業を通じて、どうすれば正しく訳せるのか「理解」することができます。ただ、「理解」すること=「入試本番で活用できること」ではないので理解できたことを体に染み込ませる作業をすることが必須です。そこで有効なのが音読です。
目の前の英文を15回を目標に繰り返し音読することでその形の英文に対して反射的に反応する力を養うことができます。実際に私は偏差値60前後くらいまでは届くようになったけど、偏差値65になかなか到達しないという苦しい時期に、この「理解できた英文を音読する」という作業を徹底する習慣を取り入れたところ、2ヶ月程度で模試の偏差値が68まで伸びました。予備校で担当する生徒に実践させてもほぼ全ての生徒が効果を実感できる学習方法なので、ぜひ根気強く取り組んでみてください。
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『英文読解の原則125』が終わったら次は?
『英文読解の原則125』が完遂できたら、基本的にはもう同じ系統の参考書に取り組む必要はありません。実戦的な長文読解問題集※や志望大学の過去問に取り組み始めましょう!
※実戦的な長文読解問題集の例
・『Top Grade 難関大突破英語長文問題精選』
・『大学入試英語長文ハイパートレーニング 難関大編』
・『やっておきたい英語長文700/1000』
・『大学入試 英語長文記述式トレーニング問題集』